MLBアワードは、オフシーズンでもっとも華やかなイベント。
“野球界のグラミー賞”ともいえる一夜で、シーズンを彩ったトップ選手たちがラスベガスに集結し、ライブ形式で表彰が行われます。
2025年は「MGMリワーズ」が冠スポンサーを務め、11月14日(日本時間)にラスベガスのコスモポリタンで開催。
ドジャースのM.ベッツが初司会を務めることでも大きな注目を集めています。
この記事では 各アワードの概要や歴史、注目ポイント 、受賞者を紹介します。
MLBアワードの歴史
MLBアワードは今年で3回目の開催。
前身は「オールMLBチームアワード」で、オールMLBウィークエンドの一環としてスタートしました。
設立当初からラスベガスで行われ、今年も同地から生中継されます。
MLB.com、MLB.TV、MLBアプリ、SPOTVNOWでもライブ配信されました。
ハンク・アーロン賞
どんな賞?
この賞は、ハンク・アーロンがベーブ・ルースの通算本塁打記録を破ってから25周年を記念して1999年に創設されました。
ア・リーグとナ・リーグそれぞれで、本塁打だけではなく、安打数や盗塁など打者としての攻撃力が評価され、その年の最も優れた打者に贈られる賞。
ファン投票と殿堂入り選手による選考委員会の結果を合わせて受賞者が決定されます。
受賞者
🔹ア・リーグ:A.ジャッジ(NYY)【2年連続3度目】
今季打率.331(リーグ1位)、53本塁打(同2位)、114打点(2位)、OPS1.145(1位)をマーク。
初の首位打者も獲得するなど、昨年同様の素晴らしい記録を残しました。
🔹ナ・リーグ:大谷翔平(LAD)【3年連続3度目】
今季打率.282、自己最多55本塁打、102打点、20盗塁、146得点、OPS1.014を記録。
得点とOPSは、いずれもリーグ1位の成績を残しました。
👇ハンク・アーロン賞の詳細(候補者リストなど)はこちらの記事を
エドガー・マルティネス賞(最優秀指名打者賞)
どんな賞?
1973年にア・リーグで指名打者(DH)制度が導入されて以来、「シーズンを通じてもっとも活躍したDH」に贈られている賞です。
この賞を5度(1995、1997、1998、2000、2004)受賞したマリナーズのレジェンド、エドガー・マルティネスを称えて、2004年から現在の名称になりました。
受賞者
🔹大谷翔平(LAD)【5年連続5度目】
1973年の創設以来、デビッド・オルティスと並ぶ最多連続受賞記録に到達しました。
指名打者としては、2021年、2023年~2025年とシルバースラッガー賞も4度受賞しており、「DH=大谷」の時代が続いていますね。
2026年もこのペースを維持できれば、前人未踏の6年連続エドガー・マルティネス賞も大いに期待たいです。
カムバック賞(Comeback Player of the Year)
どんな賞?
2005年に創設された賞で、「シーズン中にフィールドで“復活”を遂げた選手」を各リーグ1名ずつ表彰するものです。
受賞者
🔹ア・リーグ:J.デグロム(TEX)
デグロム投手は、2023年6月に尺側側副靭帯断裂でトミー・ジョン手術を受け、その後1年以上も実戦から遠ざかっていました。
2024年9月の復帰登板を経て迎えた2025年シーズン、12勝8敗、防御率2.97、WHIP0.92(規定到達投手の中でタリク・スクーバルに次ぐ2位)と、ブランクを感じさせない見事なピッチングを披露。
キャリア5度目のオールスター選出を果たし、サイヤング賞の投票でも8位に入りました。
さらに、これまで課題とされてきた「シーズンを通した耐久性」もクリアし、2019年以来となる30先発&172回2/3イニングを投げ切ったことも高く評価されています。
レンジャーズのカムバック賞受賞者は、2015年のプリンス・フィルダー以来、球団史上2人目です。
🔹ナ・リーグ:R.アクーニャJr.(ATL)
アクーニャJr.選手は、2024年に左膝前十字靭帯(ACL)を完全断裂し、ほぼ1シーズンを棒に振りました。
復帰後の初戦となった5月24日(日本時間)の試合では、いきなり467フィート(約142メートル)の特大ホームランを放ち、「アクーニャは健在」という強烈なメッセージをファンに届けます。
その後も、95試合で、打率.290、出塁率.417、長打率.518、21本塁打と、打撃でもトップクラスの数字をマークし、キャリア4度目となるオールスターゲーム先発出場を果たしました。
今季400打席以上立った215人のうち、アクーニャJr選手のOPS.935を上回ったのはわずか5人だけ。
ブレーブスの選手がカムバック賞を受賞するのは、前年のクリス・セールに続いて球団史上5人目となります。
オールMLBチーム
オールMLBとは?
オールMLBチームは、2019年に創設された比較的新しい賞です。
オールスターが「シーズン前半戦の活躍」で選ばれるのに対し、オールMLBチームは
レギュラーシーズンを通して、最も優れた活躍を見せた選手を評価することを目的としています。
選出方法は、ファン投票50%・専門家50%で選出。
レギュラーシーズンの成績のみが評価対象です。
構成はファーストチームとセカンドチームの2つで、どちらも「その年のベストメンバー」という位置づけです。
ここで、両チームの違いを簡単にまとめると——
● ファーストチーム
各ポジションで「その年もっとも活躍した選手(トップ)」
● セカンドチーム
ファーストチームに次ぐ「次点のベストメンバー」
どちらも人気ではなく、レギュラーシーズンの実績と専門家の評価で選ばれるため、実力重視の賞と言えます。
両チームとも、以下のポジションごとに選出されます。
- 捕手、1塁、2塁、遊撃、3塁、DH 各1名
- 外野手3名(ポジション不問)
- 先発投手5名
- リリーフ投手2名
2025年は、選出された計32名が17球団に分散。
最も多かったのはマリナーズとフィリーズの4名で、ヤンキースとドジャースがそれぞれ3名、
ブルージェイズ、ブルワーズ、Dバックス、メッツ、レッドソックスなども複数選出となりました。
オールMLBメンバー(ファースト、セカンド)
| ファーストチーム | ポジション | セカンドチーム |
|---|---|---|
| C.ローリー 初(SEA) | 捕手 | W.スミス ②(LAD) |
| V.ゲレーロJr. ③(TOR) | 一塁 | N.カーツ 初(ATH) |
| K.マルテ ② (ARI) | 二塁 | B.チュラング 初(MIL) |
| B.ウィットJr. ②(KC) | 遊撃 | B.ビシェット 初(TOR) |
| J.ラミレス ②(CLE) | 三塁 | J.カミネロ 初(TB) |
| A.ジャッジ ⑤(NYY) | 外野 | C.ベリンジャー ②(NYY) |
| F.ソト ⑤(NYM) | 外野 | C.キャロル ②(ARI) |
| J.ロドリゲス 初(SEA) | 外野 | P.クロウ=アームストロング 初(CHC) |
| 大谷翔平 ⑤(LAD) | DH | K.シュワーバー ②(PHI) |
| P.スキーンズ ②(PIT) | 先発 | C.サンチェス 初(PHI) |
| T.スクーバル ②(DET) | 先発 | F.ペラルタ 初(MIL) |
| G.クロシェ 初(BOS) | 先発 | B.ウー 初(SEA) |
| 山本由伸 初(LAD) | 先発 | Z.ウィーラー ③(PHI) |
| M.フリード ④(NYY) | 先発 | H.ブラウン 初(HOU) |
| A.チャップマン ②(BOS) | リリーフ | E.ディアス ②(NYM) |
| J.デュラン 初(PHI) | リリーフ | A.ムニョス 初(SEA) |
2025年のMLBアワードは、今シーズンを代表する選手たちの活躍が改めて形として示される内容となりました。
大谷選手はMVPをはじめ、指名打者としてエドガーマルティネス賞を受賞したほか、ハンクアーロン賞、そしてシルバースラッガー賞を獲得し、主要4冠という歴史的なシーズンに。
さらにドジャースからは、山本投手がオールMLBチームに初選出され、日本人選手でファーストチームに選出されたのは大谷翔平、20年ダルビッシュ有(カブス)に次いで3人目となりました。
投打で日本人選手が大きく輝いた2025年。
来シーズンはどんなプレーを見せてくれるのか、ますます楽しみになってきました。



