ピッツバーグ・パイレーツ徹底解説|球団の歴史・名選手から注目選手まで紹介

2025年のレギュラーシーズンも終盤にさしかかってきました。

現在ナ・リーグ中地区5位のピッツバーグ・パイレーツについて、球団の歴史や近年の成績、若手投手たちの活躍、そして街との深いつながりまでをまとめてご紹介します。

球団名「パイレーツ」の由来

パイレーツの起源は1881年に設立された「アレゲニー・ベースボール・クラブ」。

その後ナショナルリーグに加盟し、球団名は「ピッツバーグ・アレゲニーズ」となりました。

ところが1890年、他球団の有力選手を強引に引き抜いたことで「まるで海賊のようだ」と批判されます。当時のオーナーが、これを逆手に取り1891年に球団名を「ピッツバーグ・パイレーツ」へと改称しました。

ピッツバーグの街とパイレーツ

パイレーツの本拠地・ピッツバーグは、ペンシルベニア州南西部にある鉄鋼業の街で、人口は約30万人。

市内には446もの橋があり「橋の街」とも呼ばれています。

PNCパークはそのアレゲニー川沿いにあり、メジャーで最も美しい球場と称されるほど、試合と同時にダウンタウンの景色を楽しめる特別な場所です。

球場近くのロベルト・クレメンテ橋は、球団のレジェンドにちなんで命名されたもの。
その隣には、ポップアートの巨匠アンディ・ウォーホル橋もあり、街全体が文化や歴史を物語っています。

👇真冬のロベルト・クレメンテ橋

チームカラーと街の一体感

パイレーツのチームカラー「黒と黄色」は、ピッツバーグ市旗と同じ色で、街の象徴です。
さらに特別なのは、この街のプロスポーツチームがすべて同じ色を使っていること。

👇MLB:パイレーツ(メジャーリーグ)

👇NFL:スティーラーズ(プロアメフトリーグ)
スティーラーズという名前からも鉄鋼業で栄えたことが伺えますね。

👇NHL:ペンギンズ(北米プロアイスホッケーリーグ)

アメリカで唯一、全プロチームが同じカラーという珍しい都市で、ファンが一体となって街を盛り上げています。

パイレーツのこれまでの成績

・ワイルドシリーズ優勝5回
・リーグ優勝9回
・地区優勝9回

近年はなかなか安定した成績を残せておらず、ポストシーズンから遠ざかっています。

2013〜2015年には3年連続でポストシーズンに進出しましたが、その後は下位に沈むシーズンが目立っています。以下は直近の成績です。

シーズン 成績 順位
2016年 78勝83敗 3位
2017年 75勝87敗 4位
2018年 82勝79敗 4位
2019年 69勝93敗 5位
2020年 19勝41敗 5位
2021年 61勝101敗 5位
2022年 62勝100敗 4位タイ
2023年 76勝86敗 4位
2024年 76勝86敗 5位

注目投手たちと新監督

近年は苦しいシーズンが続いている中でも、明るい材料も出てきています。

若手投手たちの台頭や、新しく就任した監督の存在は、再建に向けた大きな希望といえるでしょう。

ここでは、チームの未来を担う注目投手と新監督について紹介します。

B.アッシュクラフト(右腕)

2018年のMLBドラフト2巡目(全体51位)でパイレーツから指名されプロ入り。

度重なる膝や肘の手術で苦しい時期を過ごしましたが、2023年にマイナーで復帰しました。

翌年はAAAで3勝2敗、防御率2.84と安定した投球を見せ、2025年5月26日にメジャーデビューを果たしています。

4勝2敗 防御率2.44:9月3日(日本時間)現在

B.チャンドラー(右腕)

高校時代は野球とアメリカンフットボールを兼任し、投手と野手の二刀流としても注目を集めました。

2021年のMLBドラフトでパイレーツから指名されプロ入り。

プロ入り後は投手に専念し、2025年8月23日(日本時間)にメジャーデビュー。

ロッキーズ戦でリリーフ登板し、4回無失点で抑えて初登板から初セーブを記録しました。

最速161.9キロ

2勝0敗 防御率2.25:9月3日(日本時間)現在

P.スキーンズ(右腕)

高校卒業後は空軍士官学校で投打に活躍し、その後ルイジアナ州立大学へ転校。

2023年のMLBドラフト全体1位でパイレーツに指名され、契約金は史上最高額を記録しました。

160キロを超える速球を武器に1年目から快投を続け、同年は11勝3敗、防御率1.96で新人王を獲得。

オールスターでも先発を任されるなど、今年のサイヤング賞有力候補としても注目を集めています。

かつては大谷翔平を意識して二刀流に挑戦しましたが、練習量の壁を感じて打者としての道は断念。

「最高のレベルで両方をやるには見えないところで猛練習しているはず。それが一番リスペクトしている点だ」と、大谷への敬意を口にしています。

9勝9敗 防御率2.05:9月3日(日本時間)現在

ドン・ケリー新監督の就任

2025年5月9日(日本時間)、球団はデレク・シェルトン監督を解任し、後任にドン・ケリー氏が就任すると発表しました。

シェルトン監督は2020年から指揮を執りましたが、6年間で通算306勝440敗と苦戦続きで、勝率5割を超えることは一度も無く、今季も序盤から最下位に低迷したことを受け、交代となりました。

パイレーツは20代の選手が中心の、とても若いチーム構成になっています。

フレッシュな戦力が揃う中で、新監督ケリー氏がどのようにチームを立て直していくのか、これからに注目です。

レジェンド:ロベルト・クレメンテ

パイレーツの歴史を語る上で欠かせないのがロベルト・クレメンテです。

  • ワールドシリーズ制覇2回
  • 通算3000安打達成
  • 「ライフルアーム」と呼ばれる強肩でライトを守った名選手

クラブハウスからフィールドへ続く通路には、彼の名言が刻まれています。

“When I put on my uniform, I feel I am the proudest man on earth.”
(ユニフォームを着ると、自分は地球上で最も誇れる男であると感じる)

彼の背番号にちなんでライトフェンスは21フィート(約6.4m)。

さらに、PNCパークに隣接する黄色い橋にも「ロベルト・クレメンテ橋」と名付けられ、街と球団の象徴として親しまれています。


残念ながら1972年、大地震被災者への支援物資を届けるために乗った飛行機の事故で38歳の若さで亡くなりました。その生き方は、今も球団の誇りであり続けています。

イベント:ピローギレース

PNCパークの試合でファンが楽しみにしているのが、5回裏終了後に行われるピローギレース

ピッツバーグ名物の水餃子「ピローギ」をモチーフにした着ぐるみキャラクターたちがレースを繰り広げます。

登場キャラクターは:
🟥ザワークラウトソール
🟨チーズチェスター
🟩ハラペーニョハナ
🟪オリバーオニオン
🟧ベーコンバート
🟦ポテトピート

ユーモアたっぷりなイベントですね。

まとめ

ピッツバーグ・パイレーツは、長い歴史と伝統を持ちながらも、今は若い選手たちが中心となって新しい時代を築こうとしているチームです。

街と一体になった球場や名物イベント、そしてレジェンド・クレメンテの存在が、ファンにとっての誇りを支えています。

まだ再建途上にありますが、フレッシュな戦力と新監督のもとで、再び上位争いに食い込む姿を見られる日も近いかもしれません。

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