MLB初心者の私が、最近耳にする「セプテンバーコールアップ」という言葉。
これは、9月にアクティブロースターが拡大される制度のことで、背景には「26人枠」と「40人枠」というMLBならではの仕組みがあるそうです。
この記事では、まずこの2つの枠の違いを整理し、そのうえでセプテンバーコールアップの意味や現在のルールを、分かりやすく解説していきます。
アクティブロースター(26人枠)とは?
MLBの「26人枠(26-man roster)」は、公式戦に実際に出場できる登録枠のことです。
- シーズン開幕から8月末まで、そしてポストシーズンも26人が基本。(投手は最大13人まで)
- 26人が標準ですが、25人で運用することも可能です。
- 登録された選手は全員ベンチ入りし、この26人で試合を戦います。
ファンから見れば「今日の試合に出場できるメンバー=26人枠」と考えると分かりやすいでしょう。
リザーブリスト(40人枠)とは?
「40人枠(40-man roster)」は、球団がメジャー契約を結んで保有している選手のリストです。
- 「リザーブリスト」や「拡大ロースター」とも呼ばれます。
- 26人枠の選手はすべて40人枠に含まれます。
- ポストシーズンに出場するには、8月31日時点で40人枠に入っていることが条件です。
- 40人枠に入っている選手は、12月の「ルール5ドラフト」で他球団に指名されません。
※ MLB公式で「チーム一覧」から各チームの26人枠・40人枠を見ることができます。
→Depth charts(見たいチームのロゴ―マークをクリック)
ACTIVE(アクティブロースター)26人枠
40-MAN(リザーブリスト)40人枠
ルール5ドラフトとは?
ルール5ドラフトとは、40人枠に含まれていないマイナー契約の選手を、他球団が指名できる制度です。
対象はプロ入りから一定年数を過ぎた選手で、18歳以下で入団した場合は5年目、19歳以上で入団した場合は4年目のオフに対象となります。
指名された選手は、新しい球団で翌シーズンの26人枠に最低1年間在籍させる義務があります。
もし活躍できずに26人枠に置き続けることが難しくなった場合、その選手は必ず元の球団に返されます。
これにより、選手が行き場を失うことを防ぐ仕組みになっています。

なお、40人枠の中で投手と野手の人数配分には決まりがなく、球団が自由に編成できます。
そのうち試合に出場できる26人を選ぶときだけ「投手は最大13人(9月は14人)」という制限がかかります。
残り14人前後はどこにいるの?
40人枠に入っていても、26人のアクティブロースターに含まれていない選手はどうしているのでしょうか。
- 多くは傘下のマイナーリーグ(3Aや2Aなど)で試合に出場しています。
- ケガをしている選手は故障者リスト(IL)に入っています。
- オプション制度を使って、メジャーとマイナーを行き来しながら調整中のケースもあります。
つまり40人枠は「球団に守られている名簿」で、その中から26人を選んでベンチ入りさせる仕組みです。
セプテンバーコールアップとは?
シーズン終盤の9月1日からレギュラーシーズン終了まで、26人枠が28人に拡大されます。
これが「セプテンバーコールアップ」と呼ばれる制度です。
- 投手は最大14人まで登録可能。
- 控え捕手や代走要員を加えられるため、戦術の幅が広がります。
- 若手有望株を昇格させてメジャーの舞台を経験させる機会にもなります。
かつては40人まで登録できた?
2019年シーズンまでは、9月になると40人ロースター全員をアクティブ登録できました。
そのため、
- 投手を次々に入れ替えて試合時間が長引く
- 戦力層の厚いチームが極端に有利になる
といった問題がありました。
この弊害をなくすため、2020年からは28人までに制限されています。
ポストシーズンは26人に戻る
ポストシーズンでは再び26人枠に戻されます。
これは短期決戦での公平性を保ち、試合バランスを守るため。
ただし40人枠に含まれていれば、その中からメンバーを選んで登録できます。
まとめ
- 26人枠(アクティブロースター)=試合に出場できる選手登録
- 40人枠=球団が保有するメジャー契約選手のリスト
- 40人枠に入っていても、26人枠以外の残りの選手はマイナーやILで待機
- 9月のセプテンバーコールアップでは、26人→28人に拡大
- 以前は40人まで拡大できたが、2020年から制限
- ポストシーズンは再び26人に戻る
シーズン終盤の1勝が大きな意味を持つ中、この2人の追加が、戦い方に影響を与えるのがセプテンバーコールアップの面白さなんですね。
9月以降の、各チームのアクティブロースターにも注目です。